Starship
SpaceX社が開発中の大型宇宙船。惑星間航行を見据えている。21世紀を代表する宇宙船になるという話も。
日本語読み
スターシップ
別名
旧称 ITS, BFR
それぞれ
「Interplanetary Transport System」
「Big Falcon Rocket」の略
製造
SpaceX
大きさ
直径 9m
高さ 50m
打上ロケット
Super Heavy
運用期間
2020?~
Starshipとは
SpaceX社が開発している大型宇宙船です。惑星間航行を見据えています。何度でも同じ機体を使える再使用型ですが、スペースシャトルとは少しちがいます(動画がわかりやすいです)。
無人貨物輸送から有人太陽系探査まで、幅広い活用が見込まれています。「21世紀を代表する宇宙船になる」という話も。
SFチックなデザイン
Starshipはこれまでの宇宙船と大きくちがう、奇抜なデザインです。SF映画にでてきそうですよね。
銀ピカのステンレス
機体の銀色はステンレスの金属の色です。これまでの宇宙船では軽く丈夫で高価な材料(炭素繊維、アルミ、チタンなど)が使われ、ステンレスはあまり使われてきませんでした。Starshipはその常識から大きく外れています。
SpaceXによれば、ステンレスは炭素繊維と比べてコストを約2%におさえられます。耐熱性能も炭素繊維の150℃に対し、ステンレスは820~870℃まで耐えられるそうです。タイル交換も必要なく、メンテナンスがラクになります。
本当にステンレスで大丈夫なのか心配になりますが、対策も練られています。大気圏突入時は高温になるのを防ぐため、2層のステンレスの間に燃料または水を流します。さらに外壁に小さな穴を開け、機体表面にも貼り付くように流し、蒸発させ熱を逃します。
フィンとカナード翼
まるでイカのような特徴的な形です。これは姿勢制御のためで、機体下部の翼を「フィン」、上部の翼を「カナード翼」といいます。これらを動かして、水平姿勢を保ちながら大気圏を降ります。
非常に大きな船体
写真やイラストではわかりにくいですが、非常に大きな宇宙船です。全長50m。打上げ時のSuper Heavy ロケットと合わせると118m。これまで史上最長だった、アポロ計画のSaturn V ロケットの110.6mを超えます。
ラプターエンジン
使われるエンジンは、液体燃料ロケットエンジン「ラプター」です。大きな推力が特徴です。
燃料は液体メタン、酸化剤は液体酸素。長寿命で効率のよい「フルフロー2段燃焼サイクル」を採用しています。
ひとつでも大きなパワーを発揮するラプターエンジンですが、それがStarshipには6基、打上げ用のSuper Heavy ロケットには37基も付いています。
使用予定の計画
すでにStarshipを使う計画が、たくさん予定されています。日本人になじみ深いのは「#dearMoon」プロジェクトでしょうか。
#dearMoon
日本の実業家でZOZOTOWNを創業したことでも知られる、前澤友作氏の月旅行計画です。
アートに強い関心をもつ前澤氏は、複数の座席を購入し地球を代表するアーティスト6〜8人を招待。2023年以降に、月をまわる1週間の飛行を予定しています。
地球の都市を1時間以内で結ぶ定期便!?
SpaceXは宇宙を経由し、地球の主要都市を1時間以内で結ぶ定期便を計画しています。国際線の飛行機の宇宙版です。再使用型宇宙船だからできることですね。
ただし、SpaceXの目的は旅客輸送ではなさそうです。このサービスで機体を何度も使い、Starshipの信頼性を高めることで、今後の火星移住や太陽系進出に備える狙いがあります。
火星植民
火星への移住・植民計画です。人が乗るStarshipを1機、燃料補給用のStarshipを1機、打上用Super Heavyロケット1機を使います。1度に100人規模で火星に移住します。
太陽系各地へ
具体的な計画は決まっていませんが、SpaceXは太陽系各地を探査するイメージを発表しています。
主な参考文献
1)Mike Wall. "Why Elon Musk Turned to Stainless Steel for SpaceX's Starship Mars Rocket". SPACE.com. https://www.space.com/43101-elon-musk-explains-stainless-steel-starship.html, (accessed 2019-09-29).
2)SpaceX. "Starship | SpaceX". SpaceX. https://www.spacex.com/starship, (accessed 2019-10-19).